がん治療詐欺を放置する厚労省

日本では、自由診療のクリニックが、効果のない免疫細胞療法などを行い、がん患者から高い費用を取っている。
NHK NEWS WEBが、11月29日に配信した記事によると、厚労省はネットでの広告規制を追加するらしい。

「厚生労働省は、すべての医療について病院やクリニックが患者の体験談をホームページに掲載することを禁止するなど、新たな規制の案を取りまとめました」(一部抜粋)

NHK NEWS WEB 11/29配信より

しかし、このような規制は、ほとんど効果はないだろう。
ホームページは入り口に過ぎず、巷で横行している免疫細胞療法の多くは、「無料説明会」などで患者を勧誘するのがパターンだからだ。
「患者の体験談」を掲載できなくても、患者を無料説明会で「洗脳」してしまえば、免疫細胞療法などで高い治療費をふんだくることなど、難しくはない。

今、私が取材で関わっている早期がん患者は、外科手術をキャンセルして自由診療クリニックで治療と称する「儀式」を受けている。
どのような治療法を選択するかは、むろん患者各々の自由だ。
しかし、この患者の場合は、「儀式」で自分のがんが治ると、クリニックから信じ込まされている。
これは、詐欺行為としか言いようがない。

患者の体験談を広告で規制するよりも、抜本的な解決方法がある。
厚労省が、次のような基本方針を示せばいいのだ。

「独自の治療法を行う場合は、臨床試験で実証することを義務付ける」
「臨床試験のデータは、情報公開して第三者が検証可能にする」

臨床試験のプロトコルなど、課題はあるだろうが、
このまま「何でもあり」の状態を放置することは、厚労省の怠慢でしかない。