「消された信仰〜最後のかくれキリシタン〜」不思議な人の縁について

消された信仰  最後のかくれキリシタン −長崎・生月島の人々
広野真嗣 著「消された信仰 最後のかくれキリシタン −長崎・生月島の人々」

小学館ノンフィクション大賞を受賞した、著者の広野真嗣さんを祝う会に、あの人が現れた。
広野さんが10年以上もデータマンを務め、そして東京都知事時代も専門委員として支えた、猪瀬直樹氏である。

  政治家としては評価が分かれるかもしれないが、ノンフィクション作家としては、傑出した作品を世に送り出した人だ。
タブーだった天皇家と西武グループの関係を明らかにした「ミカドの肖像」は、調査報道の金字塔だと思う。

  受賞作「消された信仰」は、これから読ませていただくが、世界遺産の登録から除外された「生月島の隠れキリシタン」の物語に、期待と想像が膨らむ。 お互い執筆中だった時に、酒を飲みながら広野さんから取材の様子を聞いているので、素晴らしい作品だと確信している。

広野真嗣
小学館ノンフィクション大賞の授賞式。挨拶をする広野氏。(C)M.IWASAWA

広野さんと同じく、猪瀬直樹氏のデータマンを務めていた、故・伊藤精介が書いた「沈黙の殺人者ーC型肝炎」との出会いで、私は肝炎問題の取材に関わった。
当時、伊藤の担当編集者だった鈴木亮介氏は、週刊ポストの編集長を務めている。
そして、広野さんの作品を担当した編集者・濱田顕司氏は、同時期に出版した私の「やってはいけない歯科治療」も担当してくれた人でもある。

  これも全くの偶然だが、隠れキリシタンと神父をテーマにした、マーティン・スコセッシ監督の「沈黙‐サイレンス‐」には、高校時代のラグビー部仲間である、鎌田栄治が出演した。 半世紀も生きたせいか、不思議な縁で人は繋がっているとつくづく思う。