免疫細胞療法は現代医療の「都市伝説」

元国立がん研究センター・がん予防・検診研究センター長の医師が、スタッフとして名を連ねている、東京ミッドタウン先端医療研究所。
ここは、自由診療の免疫細胞療法クリニックである。
権威とされる医療機関の名前を利用するのは、免疫細胞療法の「信頼性」を高める常套手段だ。同クリニックのホームページには、連携施設として以下の大学病院、有名病院が紹介されており、「病院のブランド」が、免疫細胞療法ビジネスに利用されている。
このような行為を黙認しているのは、研究費名目の資金提供、人的交流、就職斡旋などの便宜供与を受けているからだろうか?
同様の手法は、他の大手免疫細胞療法クリニックでも同様に行われているが、患者の信頼を裏切る背信行為だ。

手術、放射線、化学療法などの効果がない患者にとって、免疫細胞療法は「最後の希望」だというのは虚構であり、現代医療の「都市伝説」でしかない。
各免疫クリニックのホームページには、有効性を示しているように見える論文リストが掲載されている。だが、内容をよく見ると一般的な臨床試験としての手順を踏んでいないものや、単なる症例報告でしかない。
客観的な検証が不可能で、再現性のないデータは、医学論文としては評価対象にすらならないものだ。

さらに、前記のクリニックは、厚労省さえも宣伝戦略に利用していたフシがある。
免疫療法クリニックが、再生医療法によって認められた「医療施設」であると示している記述を転載した。だが、以下のURLは存在しない。
宣伝に利用されていることを把握した厚労省が、再生医療法の認可施設の掲載を中止したからである。
再生医療法の認可施設は、あくまで「施設基準」でしかなく、免疫細胞療法の「有効性」とは全く関係がないのだ。

このような「トリック」行為は、複数の免疫クリニックのホームページや説明会で確認している。
がん患者に誤解を与える行為は、医療広告のガイドラインから逸脱している。
日本医科大学・勝俣範之教授は、免疫細胞療法クリニックのこうしたモラルハザードをFBやブログなどで告発しているので、そちらもご参照していただきたい。

私は一昨日のラジオ番組でも、このような免疫細胞療法の問題性を指摘したが、とにかく、進行がん患者は騙されないでほしい。
繰り返すが、最後の希望とされている免疫細胞療法は、都市伝説でしかない。
そして、以下のブランド病院は、宣伝に利用されている実態について意思表明をすべきだろう。

<東京ミッドタウンクリニックのHPより>

■厚生労働省HP再生医療等提供機関の一覧
http://www.mhlw.go.jp/…/06-Seisakujouhou-108…/0000150624.pdf
(当施設掲載ページ:P110番号564-566)

<同クリニックの提携施設>
日本赤十字社医療センター
NTT東日本関東病院
東京医科大学病院
慶應義塾大学医学部
北里研究所病院
東京大学医科学研究所附属病院
要町病院
東都文京病院
昭和大学病院
東京慈恵会医科大学附属病院
国立国際医療研究センター