ピンハネが横行する歯科業界

保険の銀歯や入れ歯の製作には、長い時間と労力がかかる。 その対価として診療報酬で設定された技術料は、驚くほど安い。
歯科医はそこから、さらに値下げを技工士側に要求する。
断れば仕事を切られるだけだから、技工士は怒りを胸に抑え込み、笑顔で承諾しているはずだ。

最近では、規模を大きくしたラボ(技工所)が、営業マンを使って歯科医から安い価格で受注をかき集め、その半額で下請けに出している。
そのラボは、営業活動だけで手数料を稼ぐことができるが、下請けの技工士は、どんどん疲弊していくばかりだ。

こんな状況だから、若者たちがどんどん業界から去って行く。
安い単価で長時間労働によって製作される銀歯には、不適合なものが多いという。 患者にとっても、悪影響が及んでいるのだ。

歯科技工の現場
歯科技工士の実態改善を訴える歯科技工士・雨松真希人氏(C)M.IWASAWA

今、こうした状況を変えようと、行動を起こしている歯科技工士たちがいる。
フェアな取引を実現して、若い技工士の未来を守るためだ。
搾取することに慣れきった歯科医師会は、クライアントでもあるので、ケンカはできないだろう。 無責任体質の国(厚労省)も、したたかだ。

これまで何度も先人の技工士たちが挑戦して、実現できなかった困難な運動だ。 私も微力ながら援護射撃したいと思う。