50年前、日本に予防歯科を提言した歯科医

「1500人の患者を調査したら、なんと90%以上が欠陥治療でした。
信じられますか?温泉の〝湯の花〟みたいな歯石がこびり付いてるのを取らずに〝鍋〟みたいな金属を被せているんですよ!
これでは治療しても、また虫歯が再発して当たり前でしょう。
ほんまでっせ、これじゃ患者さんが可哀想だと思いませんか!」

こう話すとバン!とテーブルを叩いた。ずさんな歯科治療に対する怒りがこみ上げてきたのだろう。
87歳とは思えない川村泰雄先生の情熱に、私はただ圧倒された。(※年齢は取材当時)

川村康雄先生が書いた「プラック・コントロール」
川村康雄先生が書いた「プラック・コントロール」、自らが発行した歯科雑誌「Way」(C)M.IWASAWA

週刊ポストの連載時から2年ほどかけて、歯科治療をテーマにした本を書いている。
日本の歯科業界にも、予防歯科を重視する流れが出てきたが、実は50年前、大阪の川村康雄先生は予防歯科の重要性を提言して活動していた。
なぜ、当時の歯科業界はそれを受け入れなかったのか?
そして、日本人が歯を失った根本的な理由は何だったのか?
拙著で解き明かしたいと考えている。