胃がん検診と歯科医療

今週発売中の週刊ポスト「ニッポンにワクチンを普及させたくない医療ムラの不都合な真実」にコメントさせていただいた。

胃がんは、早期発見すれば完治可能であるとして、公的ながん検診として、国はバリウム検査だけを推奨してきた。
しかし、消化器専門の医師で、胃がん検診としてバリウム検査を受診する人は、ほとんどいないのが現実だ。
それには理由がある。

「バリウム検査は、見落としが多い」
「内視鏡の方が、バリウム検査より3倍がん発見率が高い」
「バリウムが大腸などに貯まり、孔を開けてしまう副作用が一定頻度で発生、死亡事故も起きている」
「ピロリ菌に未感染の人は胃がんになる可能性が極めて低い」

こうした事実があるので、「バリウム検査で、胃がんを早期発見するのは無理だ」と言い切る医師も少なくない。
優れた放射線技師が担当した場合は、神業的に早期がんを発見できる場合もあるが、毎年検診を受けていながら、かなり進行してから発見されるケースも多いのだ。

昨年4月から、公的な胃がん検診に内視鏡検査が加わったが、内視鏡検査に対応できる医師や施設の確保が不十分で、検査の技術格差も大きいままだ。
しかも、胃がんになるリスクが極めて低いピロリ菌未感染者が、内視鏡やバリウム検査を受けるのは、壮大なムダであり、検診そのものがリスクになっている。

こうした矛盾が今も是正されないのは、全国的ながん検診組織、検診を専門とする学者、関連業者などによる「検診ムラ」=「医療ムラ」の利権が影響している。

歯科治療においても、数十年前から欧米が「予防重視」にシフトしている一方で、日本は相変わらず「削って詰めて抜く」が保険診療の主流である。
「疾病保険だから、予防には使えない」という論理によって、中高年世代の口の中は銀歯だらけになり、安易に歯を抜かれてインプラントにされる、というおかしな状況が起きている。

一部の心ある歯科医たちが、この流れを変えようとしており、私も微力ながらお手伝いをしたいと考えている。