「歯医者のウラ側 徹底解明!」PRESIDENT誌の特集に協力しました

歯科治療を大きく取り上げた、PRESIDENT・2月25日発売号。
経済誌らしく、データ分析を基に歯科治療の現状と課題を伝えている。
私が協力させていただいたのは、「歯医者に聞いた 受けたい治療、受けたくない治療」のコーナーと「コラム3・ルポ潜入」。

プレジデント「歯医者のウラ側 徹底解明」
プレジデント「歯医者のウラ側 徹底解明」(C)M.IWASAWA

編集部スタッフにインタビューを受けた時、こんなことがあった。
「CMの露出度が高い歯科医、クリニックについては、基本的に敬遠すべき」、
と私が考えていることについて、担当者から疑問が返ってきたのだ。

「多くのCMを出稿できるのは、経営がうまくいっているからですよね。つまり多くの患者が来ているわけだから、ちゃんとした治療をしていると言えるのではないですか」

なるほど、そういう考え方もあるのだと感心した。

あざといテレビCMや、タイアップ式の雑誌記事、立て看板など、様々な「広告」で露出頻度が多いクリニックが、集患に成功している。
それは、プレジデントのスタッフが指摘するように「広告」が、安心できる材料となっているからなのだろう。

ただし、経営者としての視点で見ると、「広告」はあくまで事業利益を上げるための投資だ。多額の広告費を投資するためには、相応の営業利益を確保しなければならない。
そのためには、自由診療で高額な治療費を設定するか、人件費や材料費などのコストを圧縮する必要がある。そうなると、医療のクオリティよりも、営業利益を優先するクリニックになる可能性が高い。

また、テレビ、雑誌などの媒体に対する社会的な信用度が、全く関係のない広告主の信用度を上げる効果もある。
例えば、全国紙が毎年出版している「歯科医の名医」ムック本があるが、1頁分あたり80万円から120万円ほどの広告費を払えば、掲載可能。(情報部分は別)新聞社は、広告収入と引き換えに、自社の「信用度」をクリニックに渡していることになる。

ネットが普及した時代になって、ひどい治療ばかりやっている歯科医やクリニックは、「口コミ」などに悪評が投稿されたり、裁判情報などが簡単に入手可能だと思いがちだ。実際は、ここに落とし穴がある。
ネット検索のアルゴリズムに詳しい人間であれば、SEO対策や、悪評などのネガティブ情報が下位に表示されるように、情報操作などが可能なのだ。

このように、多額の広告費を投入しているクリニックにとって、最大の関心事はビジネスであり、医療ではないと私は考えている。