白衣の詐欺師たちは、同じ手口を使う

有効性が定かではないのに高額な費用をとる、自由診療の〝免疫細胞療法〟(以下、免疫療法)。
これでボロ儲けしてきた「白衣の詐欺師」たちは、いま不安に苛まれている。
無届けの臍帯血療法で医師らが逮捕され、次は詐欺的な免疫療法がお縄になる可能性が出ているからだ。

巷の民間クリニックで行われている免疫療法は、患者から血液を採取して、リンパ球中の免疫細胞を培養したり、がん細胞の目印をつけて患者の体内に戻す方法が多い。
面白いことに、これらのクリニックには共通した手口がある。

「無料説明会で、患者をおびき寄せる」
「他の免疫療法は詐欺だ、効かないと批判する」
「こんなに沢山の患者を治療したと自慢する」
「主治医に免疫療法を反対されたら黙って来い、と指南する」
「抜群に効いた症例画像だけを紹介する」
「がんが消えた、というエピソードを強調する」
「がんは待ってくれない、と治療を急がせる」etc……

私は、ある免疫療法の取材をしている中で、既視感を覚えた。
「催眠商法」「マルチ商法」の手口や、話術にそっくりなのだ。
マトモな医者なら、絶対に口にしないセリフが、次々と飛び出してくるのだが、説明会に参加している患者や家族は気づかない。
「免疫療法は最後の希望」だと信じたい一心だからなのだろう。

そもそも、免疫療法が、がんに抜群な効果があるなら、とっくの昔に保険診療として認められているはず。
この疑問に対して、免疫クリニック関係者は、真顔でデタラメな返答をした。
「国民皆保険制度がスタートした1961年当時、まだ免疫療法がなかったので審査対象にならなかった」
言うまでもないが、1961年以降に保険収載された新薬や治療法は数多くある。
「免疫療法は、いつまでも有効性を臨床試験で立証できない」
これが、保険診療になっていない唯一の理由である。

週刊ポスト8月28日号に掲載されている、免疫細胞療法に関する記事が、WEB版に掲載された。
全文ではないが、全体像が掴めると思うので、よろしければご一読を。

末期がん患者が騙される免疫細胞療法[週刊ポスト2017.9.8号]
がん患者がすがる「免疫療法」医師同士は競合を詐欺師扱い
免疫療法に誘導する巧妙手口 画像偽装、患者TV 出演など
大学病院でのがん免疫療法に医師の間でも議論噴出