歯科医師会と政権の闇

去年5月、日本歯科医師会の政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)が、複雑な献金ルートを経て菅義偉・官房長官が代表を務めていた団体に渡っていた、という疑いを週刊ポストがスクープした。

歯科業界は長らくモラルハザードの状態なのに、厚労省が黙認しているのには、理由があるのだろう。
とにかく、この報道を新聞やテレビは、沈黙を決め込んで一切後追いしなかった。
菅長官の強権的な姿勢を、官邸担当の記者がよく知っているからだ。

それに比べて舛添氏のケチな誤魔化しは、全マスコミが後追いしていた。ほとんど反撃されるリスクがないからだ。
一連の報道が引き出したのは、政治資金の改善でもなく、舛添氏のちょろまかしたカネの正確な使途でもない。
50億円の巨額な税金を使って、必要のなかった都知事選をやるという結果だけだ。

50億円のカネを、生活困窮者の救済や、奨学金という名の学資ローン返済に苦しむ若者たちに支給する、難病の研究に当てる、なんてこともできたはずだ。
政権に尻尾を振るだけの報道は、そのうち見向きもされなくなるだろう。
いや、もう若者たちの多くは、マスコミを信用していない。