故郷へ帰還するということ

福島・川内村に帰還した若い夫婦が、自ら命を断っていた。
これを9日にOAされたNHKスペシャルで初めて知り、私自身の不覚を恥じた。
その上で、彼らを追い詰めたのは何だったのか、考え続けている。
福島産であるがゆえに、農産物の価格が低く採算がとれない、帰還する住民も少なくてコミュニティの崩壊により夫婦が孤立を深めていった、と番組では描いていた。
それは事実であるし、現在のNHKとしてはギリギリのところまで、スタッフが踏み込んでいるのだと分かる。
しかし、本当に彼らの命を奪ったのは、体制も整えずに安易な住民帰還を進めた「政治判断」であると私は思う。
飯舘村でも、住民帰還を促す動きが加速しているが、このままでは再び同じ悲劇が起きるのではないかと危惧する。
住民の帰還には、まず医療体制の整備と、フレコンバッグを片付ける必要があるはずだ。
それを果たさず、国や福島県、自治体が復興を急ぐのは、あまりに無責任としか言いようがない。